相続手続きは何から始めればよいのでしょうか? 流れなどをご説明します | さいたま市 OBI行政書士事務所

query_builder 2021/02/16
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相続が発生した場合、何をすればいいのか、何から始めるべきなのか分からず困ってしまったというご相談が大変多くあります。


ここでは、実際に相続が発生した場合に必要な手続きについて、大まかな流れをご説明します。

ぜひ参考になさってください。



1. 死亡届


ほとんどの医療機関には死亡届の用意があり、医師が発行する死亡診断書(または死体検案書)と「死亡届」が対になっています。


記入例:


https://www.city.saitama.jp/007/008/001/p063481_d/fil/ex-siboutodoke.pdf (参照:さいたま市のHP・死亡届)



【届出期間】

死亡の事実を知った日から7日以内

(国外で死亡した場合は3か月以内)


【届出人】

親族(6親等内の血族・配偶者・3親等内の姻族)、同居者又は家主・地主・家屋管理人若しくは土地管理人、後見人、保佐人、補助人、任意後見人


【届出場所】

死亡した方の本籍地、または届出人の所在地、あるいは死亡地の市区町村役場


【届書のほかに必要なもの】

印鑑(届出人のもので朱肉を使うもの。)




2. 相続人を確定する:重要!


「相続人の確定」は、相続手続きを進める上で非常に重要です。

後々のトラブルを避けるためにも、誰が相続人になるのか、正確に把握しましょう。

ご自身で調べるのが難しい場合には、行政書士などの専門家に相談することを強くお勧めします。



詳細は以下のブログ記事をご参照ください。


・「誰が相続人になる? 配偶者と血族の順位


・「戸籍の調査方法について


・「相続欠格を判例も交えて分かりやすく解説します




3. 相続財産を確定する


相続が開始すると被相続人(亡くなった方)の財産を相続人が承継します。


この相続財産は預貯金などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。



[参考] 民法第896条

相続人、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。


つまり、被相続人の金銭・不動産・債権、そして、借金・その他の債務を全て含めて相続人が承継することになるのです。


なお、相続人が1人ではなく複数人である場合、相続財産は相続人全員の「共有」となり、各相続人は相続分に応じて、被相続人の権利義務を承継します【民法898条、899条】。



詳細は以下のブログ記事をご参照ください。


・「相続財産の範囲には、現金と不動産以外に何が含まれる? 借金も?



相続財産の確定は、「遺産分割協議」や「相続税申告」を行う上でも必要ですので、相続が開始した場合には、速やかに相続財産の全体像を把握することが重要です。




4. 相続の承認または放棄


相続人には、相続を「承認」するのか、「放棄」するのかを自由に選択する権利も与えられています。


[参考] 民法第915条

相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。



一度相続の「承認」または「放棄」をすると、撤回はできませんのでご注意ください。


ただし、以下のような場合には、一定期間内であれば、取り消すことが可能です。

 ・制限行為能力、詐欺/強迫等の理由によって取り消す場合


この場合の限定承認・相続放棄の取り消しは、家庭裁判所へ申述しなければなりません。


[参考] 民法第919条

相続の承認及び放棄は、第915条第一項の期間内でも、撤回することができない

前項の規定は、第1編(総則)及び前編(親族)の規定により相続の承認又は放棄の取消しをすることを妨げない


前項の取消権追認をすることができる時から六箇月間行使しないときは、時効によって消滅する相続の承認又は放棄の時から十年を経過したときも、同様とする


第2項の規定により限定承認又は相続の放棄の取消しをしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない



詳細は以下のブログ記事をご参照ください。


相続承認と放棄の効果と手続きについて (撤回はできる?)




5. 納税者が死亡した時の確定申告 = 準確定申告


所得税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について計算し、その所得金額に対する税額を算出して翌年の2月16日から3月15日までの間に申告と納税をすることになっています。


しかし、年の中途で死亡した人の場合は、相続人が1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければなりません


これを「準確定申告」といいます。


準確定申告書には、各相続人等の氏名、住所、被相続人との続柄などを記入した準確定申告書の付表を添付し、被相続人の死亡当時の納税地の税務署長に提出します




6. 遺言があるか確認する


「公正証書遺言の有無を確認する」


:昭和64年1月1日以後に作成された公正証書遺言はデータベース化されているため、公正証書遺言検索システムを利用することができます。


・遺言公正証書の検索・謄本請求は,遺言者が死亡した場合のみ相続人などの関係者に限って請求ができます。(→公証役場に依頼する)



「自筆証書遺言の有無を確認する」


:被相続人のご自宅等に保管されている場合もありますが、民法改正により、令和2年7月10日以降、公的な機関である「法務局」において、自筆証書遺言を保管する制度が新設されました。


これによって、遺言書の紛失や、相続人により意図的な破棄・隠匿・改ざんなどを防ぐことができ、ご家族も「遺言書を残してくれていたかどうか」を把握しやすくなりました。



詳細は以下ページをご参照ください。


「自筆証書遺言」



自筆証書遺言をご本人が保管していた場合には、遺言書を発見した相続人や保管者は、遺言者ご本人が亡くなったあと、家庭裁判所で遺言書に「検認」を請求する必要があります。


法務局に保管した場合には「家庭裁判所の検認」が不要です。


(※検認とは?:家庭裁判所が相続人に対して、遺言の存在と内容を知らせます。また、検認の日時点における遺言書の内容を明確にし、遺言書の偽造・変造を防止します。)



[参考] 民法第1004条

遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない

遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。


前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。


封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。




7. 遺産分割協議・遺産分割協議書の作成


[参考] 民法第906条

遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。


以下のようなケースでは遺産分割協議は原則不要です。


・法定相続人が1人のみの場合。

・または、相続放棄・相続人の廃除・相続欠格によって相続人が1人になった場合。

・すべての相続財産 (遺産) について、誰が何をどれだけ相続するのか遺言によって指定されている場合




8. 「相続税申告」及び「納税」


相続人は、相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が死亡した日)の翌日から10か月以内に、被相続人の住所地の所轄税務署に申告・納税する必要があります。




9. その他:名義変更など


7.の遺産分割協議が終了した後、不動産・預貯金口座・株式・自動車などの各種財産の名義変更などを行います。


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