法定後見制度とはどのような制度か、わかりやすくご説明します | さいたま市 OBI行政書士事務所
法定後見制度
本人の判断能力の状況などに応じて「①(成年)後見」・「②保佐」・「③補助」の3つの制度を利用することができます。
3つのうちのどれに該当するかは、医師の診断書などをもとに家庭裁判所で決定されます。
(必要に応じて診断書とは別に、家庭裁判所が医師に鑑定を依頼し、その鑑定結果も考慮した上で総合的に判断されます。)
そして、本人を保護・支援する人物として、それぞれ「(成年)後見人」・「保佐人」・「補助人」が家庭裁判所によって選任されます。
(さらに、状況により「成年後見等監督人」が選任されることもあります。)
また、本人を保護・支援することになる「成年後見人等」及び「成年後見等監督人」に対する報酬額を家庭裁判所が決定し、本人の財産から支払われます。
「①(成年)後見」:
判断能力が欠けているのが通常の状態の方 → 「(成年)被後見人」
(民法7条:精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者)
・後見する人 → 「(成年)後見人」が選任される
「②保佐」:
判断能力が著しく不十分な方 → 「被保佐人」
(民法11条:精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者)
・保佐する人 → 「保佐人」が選任される
「③補助」:
判断能力が不十分な方 → 「被補助人」
(民法15条:精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者)
・補助する人 → 「補助人」が選任される
法定後見制度では、家庭裁判所によって選ばれた人(後見人など)が、本人の意思を尊重し、本人の利益を考えながら法律行為を行うことで本人を保護・支援します。
後見人等には本人の状況などにより「同意権」「取消権」「代理権」が与えられます。
成年後見人等は何をするのか?
成年後見人には本人の意思(自己決定権)を尊重し、本人の利益を守るため「身上監護」および「財産管理」を行います。
ちなみに、介護をすること自体や、臓器移植や延命治療の同意などは、成年後見人が行う事務には含まれません。
「身上監護」
被後見人の生活・治療・療養・介護などに関する法律行為を行うことです。
(例)賃貸借契約・施設入所契約・入院契約・介護契約・生活環境の整備・定期訪問など。
「財産管理」
(例)金融機関との取引・売買契約・消費貸借契約・年金の手続き・生活保護申請・通帳保管・相続の手続きなど。
民法では次のように定められています。
民法第858条
「成年被後見人の意思の尊重及び身上の配慮」
成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
民法第859条
「財産の管理及び代表」
後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。
(注意点) 成年後見人等は、申立てのきっかけになったこと(例えば、保険金の受取や預貯金の引き出し、遺産分割など)が終わった後も、本人が亡くなるか能力が回復するまで職務が続きます。
本人の財産を成年後見人等や親族の名義で管理したり、成年後見人等や親族に贈与、貸与するなど、本人の不利益となるような管理、処分は原則としてできません。
また、遺産分割を行う際には、原則として本人の法定相続分を確保する必要があります。
財産を不正に処分すると、成年後見人等を解任されるだけでなく、損害賠償請求などの民事責任や、業務上横領などの罪で刑事責任を問われることがあります 。
出典:「令和2年4月 成年後見・保佐・補助申立ての手引」(東京家庭裁判所後見センター東京家庭裁判所立川支部後見係)
(参考)
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