成年後見制度とは何か、簡単にご説明します | さいたま市 OBI行政書士事務所

query_builder 2021/01/07
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成年後見制度

男性疑問

成年後見制度とは、どのようなものか教えてください

女性教える

「判断能力が不十分な人を保護し、支援する制度」です。


現行の成年後見制度は、平成12年4月に施行されました。


認知症・知的障害・精神障害・自閉症・脳疾患・事故による脳の損傷などによって判断能力が低下している場合には、不動産や預貯金などの財産管理、介護施設への入所契約の締結などをご自身で行うことが難しい場合があります。


また、不利益な内容の契約書にサインをしてしまったり、悪徳商法や詐欺などの被害にあってしまう恐れもあります。


そのような判断能力が不十分な方々を保護・支援するための援助者を選び、ご本人に代わって財産を管理や契約締結などを行い、法的に支援する制度が「成年後見制度」です。


成年後見制度は大きく分けると「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類があります。


・本人の判断能力がすでに低下している場合:「法定後見制度」


・本人の判断能力が十分なうちに、将来に備える場合:「任意後見制度」



男性教わる

なぜ成年後見制度が必要なのでしょうか?

女性教える

① 認知症・介護 〜 超高齢社会への対応のため


65歳以上の人口が全体の21%を超えると「超高齢社会」と呼ばれますが、日本は2020年9月15日時点でその割合が28.7%(約3617万人)であり、年々上昇傾向にあります。


ちなみに、世界の201の国と地域の中で日本は高齢者の割合はトップで、主要国を見てみると、イタリア:23.3%、アメリカ:16.6%、韓国:15.8%、中国:12.0%と、世界的にも高齢者の割合は上昇しています。

  出典:「統計からみた我が国の高齢者(総務省)」



  また、日本の認知症高齢者の数は、2012年には462万人と推計されており、2025年には約700万人、つまり65 歳以上の高齢者の約5人に1人に達することが見込まれています

出典:認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~概要(厚生労働省)



このように高齢化が進む中、認知症は人事ではなく、誰でも関わる可能性のある身近な病であり、実際に今の日本は、認知症高齢者の介護問題の解決が必要不可欠な状況にあるのです。


2000年4月に介護保険法が施行され、公的な介護保険制度がスタートしましたが、この制度ができる前は「市町村」がサービスの種類などを一方的に決定していました。


介護保険制度ができると、これが「利用者が自分で選択する」ことが可能になると同時に、サービスの契約締結など様々な手続きが必要になりました。


しかし、判断能力が低下している方は、ご自身で手続きができないこともあります。


そこで、第三者である支援者が代わりに契約を行うなど、法的な支援の仕組みが必要となるため、成年後見制度が制定されたのです。

成年後見制度は、介護保険制度と同じく2000年4月に施行されました



② 障害者支援のため


障害者福祉サービスの充実や、障害者の日常生活・社会生活を支援するための施策として、2013年4月に「障害者総合支援法」が施行されました。

(この法律の対象:身体障害者・知的障害者・精神障害者・難病等特定疾病罹患者)


この法律では、 このうち、市町村が行う「地域生活支援事業」に成年後見制度の利用支援事業が含まれており、次のように目的が掲げられています。


法律の目的:障害福祉サービスの利用の観点から成年後見制度を利用することが有用であると認められる知的障害者または精神障害者に対し、成年後見制度の利用を支援することにより、これらの障害者の権利擁護を図ることを目的とする。


具体的な事業内容としては、成年後見制度の申し立てに要する経費や後見人等の報酬等の全部又は一部補助があります。

男性教わる

日本以外の国にも同じような制度はありますか?

女性教える

各国の成年後見制度の導入状況


少産少死・高齢化の進展・核家族化などが世界各国で進む中、成年後見制度の導入が進んでいます。


日本が制度を導入したのは2000年ですが、フランスの1968年オーストリアの1983年など他の先進国ではそれよりもずっと前から制度の導入と進展がみられ、制度利用者の数も日本と比較して圧倒的に多く、一部の先進国では利用者が人口の1%いるという現状があります。


それに対し、日本では2019年末の時点での利用者は、21万人で人口のわずか0.16%程度でした。

(→ 日本の認知症高齢者の数:2012年は推計462万人、2025年には約700万人と見込まれている)


(参考)

・フランス(1968年): 後見・保佐・裁判所の保護制度導入


・オーストリア(1983年):代弁人の制度導入


・カナダのケベック州(1990年):後見・保佐・補助(補助人の選任)の制度導入


・ドイツ(1990年):裁判所の選任する世話人の権限を個別的に定める制度導入


・イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど: 継続的代理権制度導入(本人の能力が低下する前に、契約により本人自ら信頼できる後見人候補者などを事前に決めることが出来る)


・アジア各国(韓国、台湾、中国、シンガポールなど)でも同様に、成年後見制度に関する法律や制度が導入されています。

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